スリランカにおける自動車リユース市場の現状と課題

Current Situation and Issues in the Used Vehicle Market in Sri Lanka

[要旨] 中古品の国際リユースは、社会の表舞台には登場しづらい産業であるが、資源循環による環境面への影響だけでなく、移民企業家が活躍するマイノリティの産業という側面も重要である。近年、中古車や中古部品といった自動車リユースに関する研究が徐々に蓄積されつつあるが、その中でスリランカ向け貿易については、ほとんど研究されてこなかった。その理由の一端は、長年続いたスリランカ内戦により、現地調査が制限されてきたことにあるだろう。本研究は、2018年12月の現地調査データを基に、スリランカの経済概況やモータリゼーションを概観する。中古車輸入規制の頻繁な変更の影響から、スリランカの中古車市場は、他国では類を見ない「新古車」かつハイブリッド車等の電動車の巨大市場となっている。また、中古部品市場については他国と同様、都市部の市場の狭隘化により、郊外集積地へのシフトが進んだ。資本規模の大きい郊外立地店舗が、輸入・販売業者、兼ディストリビュータの役割を果たしてきた構図が見られる。スリランカの自動車リユース市場は、低所得者向けに1980～90年代の車両と部品を残しつつ、高所得者向けに2010年代の電動車を積極的に導入したアンバランスな構造になっている。スリランカ市場の考察を通じて、途上国の中古車・中古部品貿易が抱える課題を明らかにした。

https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/109702/

https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/109702/S24326291-5-P085.pdf

千葉大学国際教養学部

Chiba University. College of Liberal Arts and Science

紀要論文

24326291

AA12777600

千葉大学国際教養学研究 = Journal of Liberal Arts and Sciences, Chiba University

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2021-03-31

10.20776/S24326291-5-P85

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千葉大学国際教養学研究 (ONLINE ISSN 2432-6291)