共同性

ネイティブ・アメリカン・チャーチ

"Writing Space" Report on the Research Projects No.241

本稿では、アメリカ南西部のナバホ保留地1) において20世紀半ば以降に台頭してきたネイティブ・アメリカン・チャーチという宗教団体の宗教実践を対象に、重奏的な社会関係に位置づけられた人々が、特定の空間的配置の中に位置づけられることで共同性を構築していることを示す。20世紀半ばにインディアン局によって強制的な家畜削減が行われたナバホ保留地では、核家族化や賃金労働が急速に広まったとされている。しかし、人々はそのような時代的文脈において「孤独な個人」として生きるようになったわけではない。本稿では、ナバホ保留地において親族的な共同性が実体として存在するのではなく、親族関係にある人々が集うことを通じて生成される空間こそが、親族的な共同性の再生産に関わっていることを提示し、ネイティブ・アメリカン・チャーチの宗教実践がその再生産に関わってきたことを明らかにする。その上で、ネイティブ・アメリカン・チャーチの宗教実践が、親族的な共同性の変化の契機ともなることを示す。