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千葉大学学術成果リポジトリ
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2025-05-26
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S09138137-33-P011
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803
基本情報
データ種別:学術成果リポジトリ
タイトル
体育における学習意欲向上に関する実践的研究 : 学習意欲向上プログラムの作成とその有効性の検討
タイトルの別表記
A practical study about improvement of achievement motivation in physical education : An attempt to construct an Achievement Motivation Improvement Program
作成者
高橋, 清孝
西野, 明
作成者の別表記
TAKAHASHI, Kiyotaka
NISHINO, Akira
内容
[緒言] 平成20年3月28日,文部科学省より,新しい学習指導要領 8) が公示された。小学校体育科の目標は「心と体を一体としてとらえ,適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てるとともに健康の保持増進と体力の向上を図り,楽しく明るい生活を営む態度を育てる」である。この目標を実現させるための原動力となるものは,運動に対する高い動機づけであり,自ら運動に取り組もうとする意欲である。西田(1989) 10)は,体育における学習意欲を,「体育における学習活動を自発的・積極的に推進させ,それらの学習を一定の卓越した水準にまで到達させようとする内発的動機づけ」であるとしている。動機づけは,人間に行動を起こさせ,その行動を持続してある一定の方向に向かわせる心的な過程であり,動機づけの高い人は,低い人より頻繁に,しかも長期間にわたって運動やスポーツを行い,そこからより大きな身体的・精神的恩恵を享受できるのである 15)。このような観点から,学習意欲に関する実践的な研究を積み重ねていくことは,極めて重要であると考える。体育における動機づけや意欲に関する研究は決して少ないものではない。例えば,目標については,個人の進歩・向上を目指して努力するという課題志向的な目標を持つことや有能感を高めることが運動に対する動機づけを高めるのに有効であることが報告されている (細田・杉原,1999) 4)。また,スポーツ場面において,マートン(1991) 7)は,挑戦的・現実的・具体的な目標を持つことの重要性など,目標設定の原則を示している。運動有能感に関しては,岡沢ら(1996) 12)が, 従来の「身体的有能さの認知」だけでなく,「統制感」や「受容感」も含めた3点で捉えることが必要であるとしている。これは,運動能力の違いに関わらず,内発的動機づけを高める授業の在り方を探るための重要な視点と成り得る。さらに岡澤ら(2003) 13)は,中学生を対象に,体育科の授業場面において生徒がどのような評価 方法を望んでいるかを調べ,多くの生徒が求める評価法は人との比較で行われる相対評価ではなく,個人内評価や努力評価であり,特に運動有能感の低い生徒にはその傾向が顕著であったということを報告している。また,阿部・高橋ら(2005) 1) は,小学生を対象とした跳び箱運動の授業を通して,児童の課題関与を促し,「やればできる」という自信を高めるには,他者との比較ではなく,到達度基準による評価を充実させることが重要であることを報告している。これらは,個人内の基準に即してフィードバックを与えることの重要性 指摘した鹿毛(1996) 6)とも一致している。ここでは,学習内容に即した到達度の情報をフィードバックすることの重要性も指摘されている。成功や失敗の原因を何に帰するかという原因帰 属が動機づけに大きな影響を及ぼすことも知られている。スポーツ場面での研究において,伊藤(1985) 5)は,スポーツの継続した実施には,自己の能力に対する自信と努力によって結果を統制できるという認知が重要であるとしている。また,筒井ら(1989) 16)は,運動に対する意欲が高い人は,成功の原因を内的要因に,失敗を努力不足に帰属させ,逆に意欲の低い人は,成功を外的要因に, 失敗を能力不足に帰属させることを指摘している。このことは,体育科の授業場面においても成功の 原因を内的要因である能力や努力に帰属させるこ とで,その後の学習に対する意欲をさらに高めることができる可能性を示唆している。また,学習意欲の低い児童に対しては,失敗の原因を能力に帰属する傾向を低減させることで,意欲の低下を防ぐことができるということも考えられる。西田(1993) 11)は,体育における学習意欲を規定する中核となるのは「期待」及び「感情」であるとした「期待・感情モデル(Expectancy-Affect Model:EAモデル)を提起した。これまで,教育 場において,経験主義的に偏りがちであった学習意欲の喚起という課題に対して,理論的な枠組みを与えたという点で,この期待・感情モデルは 重要な意味を持つと言える。このように,体育における動機づけや意欲を高めるための有効な知見は数多く存在する。しかし, 運動部活動加入率やスポーツ人口比率の経年的低 下,学年の進行に伴う体育に対する嗜好性の低下に関する報告なども少なくない 2, 3, 14)。これらの問題は,今までの研究で得られてきた 知見が教育現場で十分生かされてこなかったり, 実験的な研究と通常の授業をつなぐ実践的な研究が少なかったりしたことが原因の一つとなっているといえるであろう。優れた知見であっても,実験室的なものであったり,断片的なものであったりしては,教育現場では生かされにくく,それぞれの研究で得られた知見を全体としてまとめていくことが必要だということである。そこで,これまで述べてきたような先行研究や筆者らの実践的研究(阿部・高橋ら,2005) 1)をもとにして,学習意欲の向上という視点から指導計画を立てる際に拠り所となる総合的なプログラムを作成することとした(資料1)。これは,本研 究の土台となるものである。そしてこれを実際の授業場面に適用してその有効性を検討し,最終的 には,教育現場の教師に援用可能な一つの方策として提言できるようにしたいと考えた。
[ABSTRACT] The first purpose of this study was to construct an Achievement Motivation Improvement Program in the physical education (P.E.). The second purpose is to apply this program to normal P.E. classes, and examine the effect. The program was applied to two P.E. classes (named Class 1 and Class 2). Class 1 was learning of hurdle races (5th grade, n=32), and Class 2 was T-ball games (4th grade, n=32). AMPET (Achievement Motivation in Physical Education Test) of Nishida (1989) was used to examine the effectiveness of the program. The main findings were summarized as follows; Class 1:1Among five positive lateral subscale of AMPET, numerical value of “overcoming obstacle” significantly improved. The numerical value of “learning strategy” “diligence and seriousness” and “value of learning” increased, but was not significant. 2Among two negative lateral subscale of AMPET, numerical value of “anxiety about stress-causing situation” significantly lowered. The numerical value of “failure anxiety” decreased, but was not significant. Class 2:1Numerical value of the subscale of all the positive sides of AMPET significantly improved. 2 The numerical value of two negative lateral subscales significantly lowered.
ハンドルURL
https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/107577/
フルテキストへのリンク
https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/107577/S09138137-33-P011.pdf
公開者
千葉県体育学会
公開者の別表記
Chiba Society of Physical Education
NII資源タイプ
学術雑誌論文
ISSN
09138137
NCID
AN00241194
掲載誌名
千葉体育学研究 = Chiba Journal of Physical Education
巻
33
開始ページ
11
終了ページ
21
刊行年月
2010-07-31
著者版フラグ
publisher
カテゴリ
千葉体育学研究
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DCMI資源タイプ
text
ファイル形式 [IMT]
application/pdf
言語 [ISO639-2]
jpn
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